知っておきたいパリ協定・日本の目標

「条約」、「協定」、約束としての違いは?

パリ協定。なんとなく、「パリで何か約束したんだろうな」というのがわかる響きです。
そういう感じだけは伝わってきますが、字面だけを見ますとそれしかわかりません。

「パリ協定ってなに?」という以前に、「条約」と「協定」の違いを理解する機会がないままオトナになってしまったという方も多いことでしょう。

まず、「条約」というのは外交文書の中でも最も拘束力の強い約束です。
「協定」は条約の次くらいに拘束力の強い約束となります。

「条約」=「守らないと大変なことになるよ」。
「協定」=「一緒にがんばろうね」
ニュアンス的にはこんな感じです。

たとえば、日本で最も知られている条約はもしかすると「日米和親条約」、そして「日米修好通商条約」のあたりかもしれませんが、「日米修好通商条約」の内容は下記のような感じ。
① 下田・函館以外にも外国人が住める(占拠できる)ところを作れ(※「作ってください」ではない)
② 我々の仲間が日本の領土内で何か犯罪をしたとしても、処分については自分たちで決めま~す!
③ アメリカ産のオレンジを1個100円で売ってあげます。日本の方に沢山売ります。オレンジ1個につき関税(※最終的に日本の懐に入る手数料的なもの)10円払え? 無視します。手数料は払いません。

読んでいるとムカムカしてきますね。これが日米修好通商条約です(幕府の方々もさぞかし気を揉んだことでしょう)。
一方、「協定」はどうなっているかというと、前述のパリ協定は条約ほど拘束力もなく、義務でもありません(2022年12月現在)。
そして、国によって規模も経済力も違うよということで、実は国ごとに目標も異なります。

パリ協定は国ごとに目標が違う! 日本の目標値は?

日本は2030年までに、(2013年の数値から)「温室効果ガスの排出を26%削減」するのが目標です(中期目標)。

そして、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」というのが全世界共通の目標。こちらの目標は先進国だけの目標ではなく、途上国にも共通する目標です。
2015年パリで開かれたCOP21で合意され、2016年に採択されたパリ協定は、地球温暖化対策のための協定となっています。

しかし、「ニュースで聞いたことはあるけど、まず、地球温暖化が何でそんなにいけないのかがわからない」、「具体的にどうダメなの?」という方も多いかもしれません。知ってるようで知らない地球温暖化。

放置してしまうと、日本ではなにが起こるのでしょうか?

地球温暖化が進むと鮭、イクラが食べられなくなり、チョコレートが高級食材になる

地球温暖化は生態系に多大な悪影響を及ぼし、我々の食生活を一変させます。
たとえば、みなさんは珈琲やチョコレートがお好きでしょうか?
お好きな方には残念なお知らせですが、珈琲は産地の土地がこのまま悪化し続けると作れなくなると言われていますし、チョコレートもカカオ不足から作りづらくなっていくとされています。

日本の海産物も無関係ではありません。
地球温暖化が進むと鮭、イクラが食べられなくなると言われており、養殖に成功していて市場に出しやすい魚、養殖できる魚であれば食べ続けることができますが、そうでない魚もたくさんいるため、温暖化による生態系の異常で絶滅してしまうと、スーパーの鮮魚コーナーから姿を消してしまうかもしれないのです。

サンマやイカは今の日本の技術では養殖できませんし(2022年現在)、養殖自体は可能だけれどコスパの悪さからやる業者がいないウナギのような魚もいます。

また、地球温暖化によって、「食べることはできるけど味、見た目などの品質が落ちる」ということが起こった場合には、今までは摘み取ってそのまま美味しく食べられていたものも、食べられなくなるかもしれません。
色素を添加して美味しそうに見せる必要が生じ、今まで以上に添加物だらけの生活になっていく可能性もあります。

さらに、釣りが趣味の方にとっては当然の事実かもしれませんが、「魚の穫れるポイントが年々ズレている」というのも現実にすでに起きていることです。

太古の昔~現在にかけて培われたその土地の漁の技術が廃れ、人口の3割が老人となる少子高齢化の影響とも重なり、人口の少ない市町村はどんどん廃れて合併吸収されていくことが予想されます。

そして、現在の日本は温暖湿潤気候の土地で、通常時の気象は非常に穏やかですが、2030~2050年頃にはスコールがはじまるとされており、ただでさえ荷物になりがちな傘を、毎日毎日、どこへ行くのにも持参しなければいけない社会がもう10~20年後に迫っているのです。

菅元総理が言っていたカーボンニュートラルは温暖化とどんな関係があるの?

日本はパリ協定の中で、温室効果ガス排出量を2030年までに(2013年の数値から)46%削減することを目標立てています。
さらに、2050年に完全なカーボンニュートラルを実現することも目標にしているのですが、菅元総理が言っていたカーボンニュートラルとはなにを指すか、ご存知でしょうか?

カーボン(carbon)は、「炭素」、ニュートラルは「中立」、「中間」といった意味の言葉です。
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量から、植林、森林管理などによる吸収量を差し引くことで、排出量をゼロへと導くことを表しています。

しかし、「じゃあ自分たちはなにもしなくて大丈夫」ということにはなりません。
もし日々の生活の中で、ソーラーパネルを取り入れられるのであれば取り入れた方が環境~自分のためになります。
より沢山の企業が太陽光発電システムに興味を持ち導入できるのであれば、それに越したことはありません。

具体的に国民はなにをすればいいの?

パリ協定で定められた日本の目標は、国としての目標です。
日本の政治家がそれを達成するための施策を考え、実施をおこないます。
つまり一般人にはこれといった義務もありません。なにかを強制されることもありません。
しかし、「企業にも個人にも協力を求められている」ものであるのは確か。
個人も企業も、ガソリン車から電気自動車へは切り替えなければならないといったこともありますし、太陽光発電(ソーラーパネル)を家~会社に設置することで、高騰化している電気代が安くなり、余った電気を売ったり、新たなビジネスを開拓したりと、様々な可能性も拓けます。

家庭用家電製品を省エネ家電に切り替える、といった比較的気軽にできることも、誰が強制するわけでもありません。しかしやってみると地球~自分の未来のためになるだけでなく、電気代が削減でき、決して損はないはずです。

現在の日本国内の発電事情ってどうなっているの?

「日本にはエネルギーが沢山あるハズ」、と信じている方に残念なお知らせです。
まず、日本は資源小国であり、エネルギー自給率は1割程度しかありません。
その1割の内訳をさらに見てみますと、火力発電が7割程度。
2022年以降はウクライナ侵攻、円安の影響により、ガソリンの価格も高騰化しており、日本国内の発電事情は良いか悪いかで言いますと非常に悪い状況です。

日本の温室効果ガスの排出量の多くは火力発電を原因としています。
こういった現状を、個人法人の省エネ、再生可能エネルギーへの置き換えによって変えていかなければ、恐ろしい時代がもう数十年後にも訪れてしまうのです。

その一方で、業務スーパー創業者沼田昭二さんが熊本県小国町(おぐにまち)で2016年から取り組んでいる地熱発電のような、希望が感じられる新規事業もあります。
一般企業が太陽光発電システム、蓄電池、EMS(エネルギー管理システム)への関心を深め、導入し、個人でも関心を寄せる人が増え、一般普及が進むことで、国内の発電事情も少しずつ明るいものへと変わっていくかもしれません。

パリ協定の具体的な内容

概要

  • 世界共通の長期目標として2℃目標の設定。 1.5℃に抑える努力を追求すること。
  • 主要排出国を含む全ての国が削減目標を5年ごとに提出・更新すること。
  • 全ての国が共通かつ柔軟な方法で実施状況を報告し、レビューを受けること。
  • 適応の長期目標の設定、各国の適応計画プロセスや行動の実施、適応報告書の提出と定期的更新。
  • イノベーションの重要性の位置付け。
  • 5年ごとに世界全体としての実施状況を検討する仕組み(グローバル・ストックテイク)。
  • 先進国による資金の提供。これに加えて、途上国も自主的に資金を提供すること。
  • 二国間クレジット制度(JCM)も含めた市場メカニズムの活用。

[参考/引用元]パリ協定の概要(外務省HP)

まとめ

パリ協定にもっとも手軽に、個人で参加する方法は、ソーラーパネルの購入かもしれません。
太陽光発電に馴染みのない方も、ソーラーパネル(太陽光発電)で充電できるモバイルバッテリーは最近ではカンタンに通販で手に入りますし、電気代高騰により身近なものになってきています。

EMS、エネルギーマネジメント、蓄電池、新電力など。
聞き慣れない言葉が多いと、最初は他人事のような印象があるかもしれませんが、どれもこれも、みなさんに関係のある、家計~経営を救ってくれるものです。
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